玉置半兵衛名言集から

玉置半兵衛(11代目)たまおき・はんべい 京都府出身。京都の「半兵衛麩」会長

関西に住んでいた時に、一度だけ五条大橋のたもとにある麩の専門店「半兵衛麩」の本店に行ったことがあります。このお店で買った麩は確かに美味しかった記憶があります。生麩が美味しいのですが、今はネットで購入も可能なようです。このお店の11代目が店の経営に関して語っている言葉があるのですが、買いに行った当時はサラリーマンでしたので、その当時に11代目の言われている言葉を聞いたとしても、それこそ、ふ~~んで終わっていたと思います。ただ、今はあの当時理解できなかった11代目の語られている言葉の意味が深く理解でき、また、共感できるようになりました。

ところで、最近、いろいろと悩むことがあり、今の心境を言葉にして表してみました。それが以下の言葉です。

「45歳でリストラにあい、思ってもいなかった起業に至り、努力して、工夫して何とか頑張って利益を出した結果が、社保と税金でがっぽり持っていかれ、人を雇えば頭の線がどこか違うところへつながっているような人を採用してしまったり、ちょっと無理を言えばブラック扱いされて、この会社へ入るまでの悲惨な生活状況などコロッと忘れて給料が安いとか言われ、今の心境は会社勤めがどんなに楽かと。会社経営なんぞやるもんじゃないと、しみじみ思う今日この頃です」

しかし、そうはいっても会社経営を止める訳にはいかないのが現在の偽らざる心境です。

そんな時に思い出すのが半兵衛の名言集です。

代表的なものを紹介します。

【老舗ではなく新店になる】
店が老いたらしまいや。しにせの「し」が「止」になり「死」にならんように、いつも新たな気持ちで「新店(しんみせ)」にならないかん。「しん」は「進」「清」「慎」「心」……どれも大事。時には「辛」もあるけど、「辛」抱や。
ええか、しゃべることを「言」うと書く。ニンベンを付けると「信」や。しゃべることは「云」うとも書く。ニンベンを付ければ「伝」人はやるべきことをちゃんとやり、言うべきことをしっかり言ってこそ、伝わり、信じてもらえる。お客様にも、一緒に働いてくれる人たちにも、ちゃんと感謝の気持ちを伝えなさい。
そうして「信」じ合う「者」が集ってこそ「儲」けになる。もう一度分けて「信」と「者」で信者。「この人の言うこと、やることは間違いない」と相手に信じてもらえてこそ、商売を続けることができるのや。
玉置半兵衛「半兵衛麩」京都市東山区

言葉遊びにも思えるかもしれませんが、私には心にジンとくる深い言葉です。その他にも色々と心に響く深い言葉がありますが、興味のある方は、著書『あんなぁ よおぅ ききや  京の言の葉 しにせの遺心伝心』が出版されていますので、読まれてみてはいかがでしょうか。

当社もこのまま放置しておくと、みんな去年の続き、安全パイの仕事しかやらなくなる。経営者から見れば、守りばかりやっていても将来はない。と、どこかの経営者の言った言葉がありますが、その通りだと思います。当社も色々と悩みは尽きませんが、まぁ もうちょっと頑張ってみましょうかね。